
はじめに
「ペットボトルのふたを開けると親指の付け根が痛い」
「洗濯ばさみをつまむのがつらい」
「瓶のふたを開けたり、鍵を回したりするとズキッとする」
このような症状がある場合、**母指CM関節症(ぼしシーエムかんせつしょう)**の可能性があります。
母指CM関節症は、親指の付け根にある関節の軟骨がすり減ることで、痛みや変形が起こる病気です。
特に中高年の女性に多くみられます。
一方、同じような場所が痛む病気に「ドケルバン病」があります。
今回は、母指CM関節症の症状や原因、ドケルバン病との違い、治療について解説します。
母指CM関節とは?
親指の付け根には「CM関節」と呼ばれる関節があります。
親指は、
- つまむ
- 握る
- ひねる
- 開く
など非常に複雑な動きをします。
CM関節は、この親指の自由な動きを支えている重要な関節です。
その一方で、日常生活で繰り返し大きな力が加わるため、軟骨がすり減りやすい関節でもあります。
母指CM関節症とは?
関節の表面は軟骨で覆われています。
軟骨には、関節に加わる衝撃を吸収し、滑らかに動かす役割があります。
加齢や長年の負担などによって軟骨がすり減ると、関節に炎症が起こり、
痛みや腫れ、変形
が生じます。
膝で起こる「変形性膝関節症」と同じような変化が、親指の付け根で起きていると考えると分かりやすいでしょう。
どんな症状が出る?
特徴的なのは、親指に力を入れたときの痛みです。
たとえば、
- ペットボトルのふたを開ける
- 鍵を回す
- 洗濯ばさみをつまむ
- タオルを絞る
- 瓶のふたを開ける
- ドアノブを回す
といった動作で痛みが出やすくなります。
初期には「使ったときだけ痛い」程度でも、進行すると安静時にも痛みを感じたり、親指の付け根が出っ張るように変形したりすることがあります。
なぜ女性に多い?
母指CM関節症は、特に中高年の女性に多くみられます。
明確な原因がひとつだけあるわけではありませんが、
- 加齢
- 関節の形
- 靱帯のゆるみ
- 長年の手の使用
- ホルモン環境の変化
など、複数の要因が関係すると考えられています。
ドケルバン病との違いは?
ここは患者さんからよく聞かれるポイントです。
どちらも「親指の付け根付近」が痛くなるため、症状だけでは区別しにくいことがあります。
ドケルバン病は、親指を動かす腱と腱鞘に炎症が起こる病気です。
一方、母指CM関節症は関節そのものの変形や炎症が原因です。
大まかには、
手首の親指側が痛い → ドケルバン病
親指の付け根の関節が痛い → 母指CM関節症
という違いがあります。
ただし痛みの場所が近いため、自己判断だけで区別するのは難しい場合があります。
整形外科ではどう診断する?
まず、
- どこが痛むのか
- どの動作で痛むのか
- 腫れや変形がないか
- 関節の動き
などを診察します。
母指CM関節症では、親指の付け根に圧力をかけながら動かすと痛みが誘発されることがあります。
また、レントゲン検査によって、
- 関節の隙間が狭くなっていないか
- 骨の変形がないか
- 骨棘ができていないか
などを確認します。
治療は?
母指CM関節症だからといって、すぐに手術になるわけではありません。
まずは保存療法を行うことが一般的です。
① 手の使い方を見直す
痛みが強い時期には、親指に大きな力がかかる動作を減らします。
特に「強くつまむ」「ひねる」という動作には注意が必要です。
② 装具・サポーター
親指の付け根を固定する装具を使用することで、CM関節への負担を軽減します。
③ 薬物療法
症状に応じて、消炎鎮痛薬や外用薬などを使用します。
④ 注射治療
痛みや炎症が強い場合には、関節内への注射を検討することがあります。
⑤ 手術
保存療法を続けても強い痛みが残り、日常生活への支障が大きい場合には、手術が検討されることがあります。
「年齢のせい」と我慢しなくても大丈夫
母指CM関節症は加齢と関係するため、
「歳だから仕方ない」
と思って我慢している方も少なくありません。
しかし、痛みの程度とレントゲン上の変形の程度が必ずしも一致するとは限りません。
適切な装具や治療、手の使い方の工夫によって症状を軽減できることもあります。
こんな症状があれば整形外科へ
- 親指の付け根の痛みが続いている
- ペットボトルのふたを開けると痛い
- つまむ動作がつらい
- 親指の付け根が腫れている
- 親指が変形してきた
- 痛みで家事や仕事に支障がある
このような場合には、一度整形外科で原因を確認することをおすすめします。
まとめ
母指CM関節症は、親指の付け根の関節に起こる変形性関節症です。
特に、
「つまむ」「ひねる」「ふたを開ける」
といった動作で痛むのが特徴です。
同じ親指周辺の痛みでも、ドケルバン病など別の病気が原因になっていることもあります。
親指の痛みを「使いすぎだから」「年齢だから」と長期間我慢せず、症状が続く場合には整形外科へご相談ください。
ゆうき整形外科クリニック 田中佑樹
“大府市、東海市、東浦町、知多市などから通えるクリニックです。 整形外科だけでなくリハビリ、内科、皮膚科と幅広く地域の皆さんの健康をサポートさせていただいています。”