
はじめに
「骨粗鬆症なら、骨が痛くなるのでは?」
「特に症状がないから、自分は大丈夫だと思っている」
「健康診断では何も言われていないから心配ない」
こう思っている方は少なくありません。
しかし、骨粗鬆症の怖いところは、骨が弱くなっているだけでは痛みを感じないことが多いという点です。
自覚症状がないまま骨密度が低下し、転倒をきっかけに手首や股関節を骨折したり、場合によっては明らかな転倒がなくても背骨の圧迫骨折を起こしたりして、初めて骨粗鬆症が分かることがあります。
つまり骨粗鬆症は、
「痛くなってから調べる」のではなく、「骨折する前に見つける」ことが重要な病気
なのです。
骨粗鬆症とは?
私たちの骨は、一度作られたらそのままではありません。
古くなった骨を壊す「骨吸収」と、新しい骨を作る「骨形成」を繰り返しながら、常に作り替えられています。
このバランスが崩れ、骨の量が減ったり骨の質が低下したりすることで、骨がもろくなり骨折しやすくなった状態が骨粗鬆症です。
特に女性では閉経後に女性ホルモンが減少することで、骨量が急速に低下することがあります。
骨粗鬆症そのものは痛い?
基本的に、骨密度が低いというだけでは痛みが出ないことが多いです。
そのため、
「腰も膝も痛くないから骨は丈夫」
とは限りません。
逆に腰痛や膝痛があるからといって、それだけで骨粗鬆症というわけでもありません。
骨粗鬆症で痛みが問題になるのは、骨が弱くなった結果として骨折を起こしたときです。
骨粗鬆症で起こりやすい骨折
代表的なのは、
-
背骨:椎体骨折(圧迫骨折)
-
太ももの付け根:大腿骨近位部骨折
-
手首:橈骨遠位端骨折
-
腕の付け根:上腕骨近位部骨折
などです。
特に大腿骨近位部骨折は、歩行能力やその後の生活に大きな影響を与えることがあります。
骨粗鬆症治療の大きな目的は、単に「骨密度の数字を上げること」ではなく、こうした骨折を予防することです。
転んでいなくても背骨が折れる?
骨がかなり弱くなっている場合には、強く転倒しなくても椎体骨折が起こることがあります。
例えば、
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重い物を持った
-
前かがみになった
-
尻もちをついた
-
くしゃみをした
などをきっかけに発症することがあります。
さらに、いつ骨折したのか本人にも分からない**「いつの間にか骨折」**が見つかることもあります。
身長が縮んだのは「年齢のせい」?
年齢とともに多少の身長変化はありますが、背骨の圧迫骨折が原因で身長が低くなることもあります。
若い頃と比べて、
「身長が4cm以上低くなった」
場合などは、椎体骨折が隠れていないか確認するきっかけになります。
また、
-
背中が丸くなってきた
-
最近急に身長が縮んだ
-
背中や腰が痛くなった
といった変化にも注意が必要です。
一度骨折すると、次の骨折が起こりやすい
ここが骨粗鬆症で非常に重要なポイントです。
骨粗鬆症による骨折を一度起こした方は、その後に別の骨折を起こすリスクが高くなります。
特に背骨では、
1か所の椎体骨折
↓
さらに別の椎体骨折
↓
また次の骨折
というように、骨折が連鎖することがあります。
これが以前のコラムでご紹介した**「ドミノ骨折」**です。
「骨折が治ったから終了」ではなく、次の骨折を防ぐ治療につなげることが非常に大切です。
どんな人が骨粗鬆症になりやすい?
特に注意したいのは、
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閉経後の女性
-
高齢の方
-
過去に骨折したことがある
-
両親に大腿骨近位部骨折の既往がある
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低体重
-
喫煙習慣がある
-
多量の飲酒
-
ステロイド薬を長期間使用している
-
関節リウマチなどの病気がある
といった方です。
「高齢女性だけの病気」ではなく、男性でも骨粗鬆症は起こります。
骨密度はどうやって測る?
骨粗鬆症を調べる代表的な検査が骨密度検査です。
骨密度検査にはいくつかの方法がありますが、その中でもDXA(デキサ)法は骨粗鬆症の診断に広く用いられています。
腰椎や大腿骨近位部などの骨密度を測定し、若年成人の平均値と比較して評価します。
当院でもDXAによる骨密度検査を行っています。
検査そのものの負担は少なく、短時間で測定することができます。
「骨密度が低い=すべて同じ治療」ではありません
骨粗鬆症の治療は、骨密度の数字だけで決めるわけではありません。
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年齢
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骨密度
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過去の骨折
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椎体骨折の有無
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ほかの病気
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使用している薬
-
将来の骨折リスク
などを総合的に評価します。
必要に応じて血液検査を行い、骨の代謝状態やほかの病気が隠れていないか確認することもあります。
治療はカルシウムを飲むだけ?
「骨粗鬆症ならカルシウムを摂ればいい」
と思われがちですが、それだけでは十分とは限りません。
治療では、
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食事
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運動
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日光・ビタミンD
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転倒予防
-
骨粗鬆症治療薬
などを組み合わせます。
薬にも、
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骨が壊れるのを抑える薬
-
骨を作る働きを促す薬
-
その両方の作用を持つ薬
など複数の種類があります。
骨折リスクや患者さんの状態に合わせて選択します。
運動も大切です
骨粗鬆症対策では、骨だけを考えるのではなく、転ばない身体を作ることも重要です。
筋力やバランス能力が低下すると、転倒しやすくなります。
そのため、
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歩行
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下肢筋力トレーニング
-
バランス運動
などを、年齢や身体の状態に合わせて取り入れることが大切です。
すでに圧迫骨折などがある方では適さない運動もあるため、無理をせず医師や理学療法士に相談しましょう。
骨粗鬆症の薬はいつまで飲む?
これは非常によく聞かれる質問です。
骨粗鬆症は、高血圧や糖尿病などと同じように、長期間の管理が必要になることがあります。
症状がないため、
「痛くないから薬をやめてもいいかな」
と思ってしまうことがありますが、自己判断で中断すると骨折予防効果が十分得られない可能性があります。
一方で、薬の種類によって治療期間や休薬についての考え方も異なります。
定期的に骨密度や骨折リスクを評価しながら、治療を続けるか変更するかを判断します。
こんな方は一度骨密度検査を
特に、
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閉経後の女性
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65歳以上の女性
-
70歳以上の男性
-
軽い転倒で骨折したことがある
-
背骨の圧迫骨折を指摘された
-
身長が以前より大きく縮んだ
-
ステロイド薬を長期間使用している
-
骨粗鬆症が心配
という方は、骨密度を確認することを検討してよいでしょう。
年齢だけではなく、骨折歴やその他のリスクを含めて判断することが重要です。
まとめ
骨粗鬆症は、骨折するまで自覚症状がないことが多い病気です。
だからこそ、
「痛くなったら検査する」では遅いことがあります。
骨粗鬆症治療の本当の目的は、骨密度の数字だけを改善することではありません。
背骨や股関節などの骨折を防ぎ、いつまでも自分の足で生活できること。
これが非常に重要です。
「自分の骨密度を測ったことがない」
「以前より身長が縮んできた」
「軽い転倒で骨折したことがある」
という方は、一度骨の状態を確認してみましょう。
ゆうき整形外科クリニック 田中佑樹
“大府市、東海市、東浦町、知多市などから通えるクリニックです。 整形外科だけでなくリハビリ、内科、皮膚科と幅広く地域の皆さんの健康をサポートさせていただいています。”